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3年越しのJust ear XJE-MH1のレビュー

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2015年にJust earのテイラーメイドヘッドホン「XJE-MH1」を購入して早3年と半年が過ぎました。ようやくの紹介となりますが、音のレビューというよりは購入に至るまでの経緯や購入してからのオーディオライフの変化といった内容になります。文章多めです。

Just earの紹介

Just earのイヤホンは2014年に販売を開始したXJE-MH1とXJE-MH2(モニター、リスニング、クラブサウンド)が現在に至るまでベースモデルとなっています。両モデルの構造は同じでダイナミック型とバランスド・アーマチュア型のドライバを1基ずつ搭載し、ユーザー好みの音質にチューニングできるMH1と、チューニング済の3タイプからなるMH2といった違いがあります。

チューニングのバリエーションをちょっと振り返りますと、試聴用の音質チューニングモデルとして「Godzilla Bass」「Eternal Edge」「Seiren Lip」「Heaven’s Air」がありました。

イベント会場などで限定販売されたチューニングモデルも「Night of Knife」「Goddes Bless You」「Mellow Memories」「Dive into the Stories」があります。

ソニーストアオリジナル音質チューニングモデルとして「 XJE-MH/SO1」「XJE-MH/SP1」。

ソニー製品との組み合わせを想定したモデル「XJE-MH/ZX」「XJE-MH/WM1」「XJE-MH/Z1 」。

その他、アーティストコラボモデルとして「XJE-MH/NY333」( 南條愛乃)や「XJE-MH/L1SA」(LiSA)など、数々のバリエーションが販売されてきたことから、チューニングの幅広さが分かるかと思います。

さらにハウジングのデザインについても、初期の無地、刻印付き、2017年にソニービデオ&サウンドプロダクツに移管してからはSONYのロゴが印字されるようになりました。なおコラボモデルは別途オリジナル刻印が用意されています。

発売当初と比べると、モデルは限られますが現在は各地のソニーストアで試聴会や耳型採取ができるようで、様々なアーティストとのコラボ等も含めて認知度も上がりました。ただ、金額にして20~30万円と高額であることと、MH1については音質チューニングも含めて完成までに2回、青山のヒアリングケアセンターを訪れる必要があることから、購入までの敷居は依然高いです。

購入までの経緯

XJE-MH2の3モデルについては2014年にヘッドフォン祭で初試聴していました。

「モニター」と「リスニング」が良い印象でしたが、その中間ぐらいの音がおそらくは好みであろうと感じていたので、購入候補は自ずとMH1に。資金面等やスケジュールなど、何とか都合がつきそうだったので思い切って購入に踏み切りました。

自分好みに音質を調整できる点がMH1の醍醐味ですが、対面形式で好みの音をうまく伝えられるか、それを実現できるか等々、不安なまま当日を迎えた記憶があります。

当時の東京ヒアリングセンター青山店

耳型採取

書類関係の記入を終え、いよいよ耳型採取。担当はヒアリングケアセンターの菅野さん。噂に聞いていた例の器具を頭に装着すると、意外に軽かった記憶があります。ここからバイトブロックを咥えた状態でドライバの位置決めをしていきます。

13.5mmのダイナミックドライバの位置決めが特に重要なようで、耳が大きいと中にうまく収まるそうですが、小さいと外側に配置する必要があるため調整が難しいとのこと。私は後者。さらに左右で耳の形が若干違っているらしく、いかに左右対称にドライバを配置するかが肝のようでした。

ドライバの配置が決まった後はシリコンを注入。およそ一時間ほどで耳型採取が終わりました。

音質調整

そしていよいよ松尾さんと音決めです。ノートパソコンに接続したBabyfaceと、試聴用のJust earが運ばれてきました。と、その前に松尾さんが淹れてくれたコーヒーで一息。

音決めの際、所有している他のイヤホンと音が似てしまうことが不安でしたが、あえてその日は朝から他のイヤホンを聴かずに臨みました。結果、完成したものと同じ音の傾向のイヤホンには今日まで出会っていないため、本当に自分の好みの音を0から決めていったこの方法は中々良かったのではないかと思います。

XJE-MH1に音のレビューはあまり意味がないかと思いますが、一般的な印象を記しておきます。Just earはバランスド・アーマチュア型ドライバと13.5mm径のダイナミック型ドライバを1基ずつ搭載したハイブリッド型のモデルとなり、調節次第で低域と高域の量感についてはかなりの幅で要望に応えてくれると思います。バランスド・アーマチュアドライバをいくつも積んだ多ドライバのカスタムIEMのように全帯域を高解像かつ物量で圧倒してくるような音ではなく、スッキリとしたサウンドになります。ちなみに私のチューニングしたモデルは後述しますが、聴きたい帯域にフォーカスしたメリハリのある音に仕上がりました。MH2の3モデルを聞き比べれば、このあたりの傾向は大体掴めるかと思います。

音決めには普段使用しているAK380を使用し、楽曲は当時よく聴いていた曲ではなく、長いスパンで聴き続けるであろう牧野由依さんの楽曲、「アムリタ」「ウンディーネ」等を中心に進めていきました。専門的な知識は何も必要なく、松尾さんと同じ音を聴きながら、低域の量を決め、高域の量を決め、といったように基本は調節前のサウンドと相対的にどちらが好みかを単純に聞き比べながら進めていくため、絶対評価が苦手な私でも順調に進められました。

牧野さんの声質は透き通るような高音が印象的ですが、「アムリタ」のサビ部分など低域に押されがちな時があるため、とにかくボーカルを最優先にお願いしました。更に高域の強さをサ行が刺さる刺さらないかの絶妙なところに、低域も少し強めに量感を持たせるように調整しました。おおよその傾向が決め、最終調整は松尾さんにおまかせしてこちらも約一時間で終了しました。

大よその高級イヤホンが目指すであろう全ての音を残らず再生するようなサウンドではなく、個人的に重視する音をとにかく強調したピーキーなサウンドに仕上がったと思います。

完成&受け取り

納期は注文時期によって変動するようですが、音質調整の日から約1ヶ月半後に再度お店へ受け取りに行きました。ここでハウジングを閉じる前に最後の音質調整ができます。よくカスタムIEMは試聴用と完成品とで音が違ったりするなどの話がありますが、音質調整時と印象は変わりませんでした。ここから高音や低音をいじると違和感が生まれそうだったため、そのまま作製をお願いしました。

ちなみにイヤホンの完成時に同封されるカードには「女性ヴォーカルを重視したバランス」「豊かな低音域と自然な高音域との両立」といったコメントが書かれています。 先のとおりピーキーなサウンドになったと思いますが、どのようなBGMと被ってもボーカルがちゃんと聴き取れるようなバランスに調整されています。音決めに使用した楽曲以外も普通に楽しく聴くことができるのでポテンシャルも高いです。トランペットなどの管楽器の響きが特に気持ちよく聴けることも嬉しい誤算でした。

使用感について、ノズル部分が体温で柔らかくなる樹脂でできているため、他のカスタムIEMと比べて長時間つけていても疲れづらいです。ただ、写真のように完成時点では透明のため本体側との継ぎ目も目立たないのですが、年数が経つにつれてだんだんと黄色く変色し、境界もはっきりしてきます。私は購入後3年目ぐらいにノズル部分を修理に出しましたので、その辺りについても後日記事にしようと思います。

受け取り初日に撮影

また、金属のハウジングも緻密な螺旋が彫られており綺麗です。しかし通常使用においてどうしても細かな傷が入ります。現在においても腐食などはありませんが、角度によって無数の傷が見えるため、気になる人は気になるかもしれません。ハウジングだけでも交換サービスがあれば良いかなと思います。

付属品についても触れておきます。付属ケーブルは細めで絡まりづらく、最高レベルに取り回しやすいものとなっています。色々とリケーブルも試してはみましたが、付属ケーブルで一番好みのサウンドに調整していることと取り回しの良さから他のケーブルの購入には至っていません。

また、イヤホンケースも使いやすいつくりとなっています。Just earの大きめの筐体もゆったり収まる深さで、左右のハウジング同士が接触して傷が付かないように仕切りが入っています。コードが絡まないようにプラグを蓋裏のポケットに収納するなど実用的。また、3年半が経過した現在も一部表面が破けている他は大きなダメージもなく、耐久性も高いです。

XJE-MH1を3年愛用してみて

このようにして自分の最高の音を手に入れた後、以降のオーディオライフに多少変化が生じました。まず、自分の好みの曲の傾向が極端に変わらない限り、MH1は常に第一線で戦えます。ユニバーサルイヤホンは使い続けているとだんだん飽きが来てしまい、次のイヤホンに浮気したりしてどうしても使用時間が短くなり、使わなくなることがありました。MH1を購入した後も他のユニバーサルイヤホンの購入は続いていますが、MH1が自分の一番好きな音であることは変わらないため、永続的な飽きが来るということはありません。様々なイヤホンを聴く中で、自分好みの音はこれだという一つの指標にもなりました。

関連して、外にイヤホンを持ち出す際に、これを選んでおけば間違いないという安心感が生まれました。着け心地の良さに加え、一番好きな音は言い換えると一番心地いい音であるため、高速バスなど長時間の移動の際にもMH1が一本あればとりあえずは大丈夫です。

リケーブルをあまり意識しなくなりました。通常、イヤホンを購入した後自分の好きな音に近づけるためにリケーブルを考えますが、既に自分好みのMH1があることから、そのイヤホン本来の音を楽しむことを第一に考えるようになりました。

DAPの更新頻度が下がりました。DAP込みでMH1の音を調整していることから、最新のDAPを購入しても更に自分好みの音になるとは限らないため、あまり環境を変えたくないという意識が働くように。ただ、イヤホン側に比べればDAP側の変更による音の変化は小さく、実際FOSTEX TM2を接続した際にも音の変化としては許容範囲内であったため、ハード的な寿命も考えるとそろそろ更新しても良いかなとは考えています。

最後に

こうして振り返ってみると、XJE-MH1を購入することはイヤホンスパイラルの終着点となる可能性を十分に秘めています。ただ、実際には他のイヤホンをその後も購入し続けていることから、イヤホン好きな私にとってMH1は終着点ではなく拠点となり、そこから余裕を持って他の道を散策できるようになった、というのが正しい表現かもしれません。

価格や製作までの時間的・距離的制約など敷居は高いですが、大げさに言えば自分自身の音とじっくり向き合える貴重な機会であり、以降のオーディオライフに変化をもたらすきっかけとなり得る製品だと思います。もちろん、ただ単純に自分の好きな音のイヤホンが欲しいという理由だけでも十分購入する価値はあります。付属品を含めた製品全体の完成度も高いので、気持ちに余裕ができたら購入を検討してみてください。

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