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癖が強いけど面白い!Grell OAE1 Signatureのレビュー

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Grell OAE1を購入しました。
OAE1は、あのSENNHEISER HD800などの開発に携わったAxel Grell氏が設立した、Grell Audio初のヘッドホンとして発売されました。

購入は海外サイトのDROPから。価格は349ドルでPaypal経由だと約57,000円でした。
https://drop.com/buy/drop-grell-oae1-signature-headphones
配送はアメリカからドイツを経由したようで、到着までに2週間以上かかっています。
緩衝材は必要最低限という量で不安でしたが、箱に大きな破損はありませんでした。

今回は限定数1,000台のプレオーダーで、Signature Editionと呼ばれているようです。
通常版との違いは次の通り。
・通常版より安価
・ヘッドバンド部分にAxel Grell氏のサイン
・個別の周波数特性グラフ付き

それでは開封していきます。

外箱はこんな感じ。パッケージデザインはHD800Sの面影を感じます。

内箱。ハウジングを回転させているため、厚みはあまりないです。

中にはマニュアルと、周波数特性が記載された紙が入っていました。

その下にはヘッドホンケースに入った本体。

ケースを開くと、本体と2本の付属ケーブルが収められています。結構しっかりと固定されます。

ケーブルは左から、6.3mm変換プラグ付きの3.5mmの両出しアンバランスと、4.4mmの片出しバランスで、バランスのみ布巻仕様。
環境がないため未検証ですが、片出しの方は左右のハウジングどちらの接続でも大丈夫とのこと。
長さは共に1.8m。

本体を取り出しました。見た通り完全な開放型となっており、内部のブランドロゴが透けて見えます。
ブラックとシルバーのモノトーン仕様。
フレームからハウジングまで金属製で、堅牢なつくりの反面、本体重量は375gと少し重め。

側面まで全てが金属メッシュとなっています。

一方で、Made in Chinaが理由かは分かりませんが、塗装ムラや、写真のバリのような細部のビルドクオリティが気になりました。

イヤーパッドは円形で3cmと厚みがありますが、耳を収める部分の直径が約6cmと小さめ。耳たぶを押さえつけるような形で装着できましたが、個人的に縦7cmは欲しいところ。

結構固くて不安でしたが、4か所の爪を外してイヤーパッドを取ってみました。
イヤーパッドはドライバに当たる部分のクッションが省かれており、ダストカバーと併せて特殊な形状となっています。

OAE1のアイデンティティとも言えるハウジングの内側部分。ドライバが横ではなく斜め前方に配置されています。
骨組み部分の意匠はHD800っぽいですね。

反対側から見たドライバは無防備。

ヘッドバンド部分は細めですが肉厚。側圧が強めなので重量ほど頭頂部への負担はありません。
無段階で長さを調節できますが、かなり短めに設計されているようで、最大に伸ばして丁度良い感じでした。
外し方がよく分かりませんでしたが、ヘッドバンド部分は交換可能となっています。

アンバランスのケーブルを接続してみました。かなり細いです。
2.5mmのプラグの特殊なコネクタで、かなり奥まで差し込みます。

Axel Grell氏のサインは右側前方のフレームに印字されていました。

使用感

OAE1の使い心地について、次の2点から使用者によってかなり差が出ると思いました。

  • 小さいイヤーパッド、きつめの側圧
    縦6cmと短く、耳たぶが常に押し付けられます(ちなみにHD800Sは縦8cm)。
    また、上を向いても全くずれないほどの側圧で、圧迫感もあります。
    今のところ、長時間の装着は難しいと判断しました。使用するうちに側圧がこなれてくることに期待です。
  • 短いヘッドバンド
    最大サイズに伸ばしてようやく丁度良いくらいでしたが、人によっては死活問題。

その他、つくりの粗さや細いケーブルは気になりましたが、全体的にはしっかり作られていると感じました。
あとはイヤーパッドが特殊な形状なので、ランニングコスト面が気になります。

音質

OAE1の音は「面白い」の一言につきます。
最大の特徴は音が物理的に前から聴こえてくる、文字通りの前方定位。

最初に小音量で音楽を再生したところ、目の前に置いた別のヘッドホンから音漏れしているように聞こえ、一瞬アンプへの接続を替え忘れたのかと錯覚する程。
普段よくヘッドホンを使っている人ほど、OAE1を初めて聴いた時の戸惑いは大きいと思います。

加えて、かなり特殊な位置にドライバがあるため、装着もシビアです。イヤーパッドの当たり具合によって耳の形が変わるだけで、音に大きな影響を与えます。
もしかしたら、一度決めた定位置から絶対に動かさないための側圧なのかもしれません。

音のバランスについては、低域が結構強めに出ていると感じました。
低域に比べると中高域(特に高域)は大人しいですが、埋もれてしまうということもなく聞こえます。長時間のリスニングに向けのサウンドですが、音のメリハリという点では乏しいため、少し暗めの印象を受けるかもしれません。
流石にHD800Sのような解像感や音場はありませんが、十分に重厚長大なサウンドが楽しめます。

ちなみに付属していた周波数特性グラフはこんな感じでした。

OAE1を数日使用してみたところ、やはりその独特な定位感は、ヘッドホンというよりデスクトップに置いた小型スピーカーのような、ニアフィールドのリスニング環境に近いと感じました。
なので前方定位といってもライブ会場のような奥行きではなく、すぐ目の前で歌っているような印象。
イメージとしては映画を再生した場合、映像の中の臨場感ではなく、映画館で観る臨場感を味わえるような。
その他、Youtubeの実況や雑談動画のような、話者が正面を向いて話している映像を見ると、実際に画面から声が聞こえてくるようで面白かったです。

このように、個人的には音楽単体よりも、目の前のモニターで映像作品と合わせた使い方のほうが、よりOAE1の特徴を生かせると思いました。

※余談ですが、映像との組み合わせでもゲームの特定ジャンルによってはお勧めできません。
FPSのように背後の音も重視するようなゲームには当然ながら合いませんでした。使えることは使えますが、通常のヘッドホンで培われた「背後からの音」の聞こえ方の認識が、そのまま違和感となります。

総評

OAE1は非常に画期的で面白いヘッドホンですが、装着感も含めてかなり人を選ぶ機種でもあります。

普段からヘッドホンを使っている方だと、ヘッドホンをしているのにモニターから音が聞こえるようで最初は戸惑いを感じ、同時に、慣れるとまるで以前からそれが当たり前だったかのような、不思議な感覚を覚えると思います。
普段のヘッドホンに戻すと明らかに錯覚だったと分かるのですが、それもまた面白いです。

一方で、いつもモニター内臓や、小型のPCスピーカーで音を聞いている方なら、あまり違和感なくヘッドホン環境に移行でき、かつ、より迫力ある低音が楽しめる選択肢になると思います。

個人的には前者になりますが、やはり通常のヘッドホン的な鳴り方が好みなので、OAE1はあくまでもバリエーションの1つ、気分次第で楽しむモデルとなりそうです。
(コンセプトはそのままに、HD800並の本体サイズ・クオリティになれば更に良くなるかも?)

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1件のコメント

  • ヘッドバンドが短い人はヘッドバンドの下側クッションを外すようにとグレルさんが言ってますね
    ヘッドバンドやイヤパッドも改良するようなこと言ってますしシグネチャーというよりは先行人柱版みたいな感じですね