正統派美音系「ONKYO E700M」のレビュー
試聴環境はAK380。楽曲はアニソンをメインに色々。
第一印象は、意外と低音が出てるなぁということ。店頭での試聴時にはそれほど印象には残りませんでしたが、膨らみ過ぎず、締まり過ぎず、程々に心地よいの量の低音が出ています。
中域、ボーカルの表現については、男女共に変なクセもなく、素直なサウンドで好印象です。E700Mの神髄はここでしょう。しっとり系ではなく、どちらかと言えばくっきり、はっきりという感じに明るい印象ですが、聴き疲れしにくい綺麗な音です。低音がよく出ていると書きましたが、ボーカルもそれ以上に出ています。低域にボーカルが埋もれることはまずなさそうです。
高域については、高価格帯のような派手さや突き抜けるような伸びはなく、大人しい印象。サ行の刺さりも少ないほうで、曲によっては時々気になる程度です。音の全体的なバランスは、低域5、中域6、高域4といった感じでしょうか。高域については比較的ということで、絶対的に不足している感じまでは受けませんでした。これは同社のDAP「DP-X1」に通ずる音づくりでしたので、組み合わせて使用すればE700Mの良さを更に引き出すことができると思います。
また、E700Mはハイレゾ対応を謳ったイヤホンではありますが、他メーカーのような「ほら、高音すごいでしょ、これがハイレゾ」(※個人的なイメージです)といった強調し過ぎた、あるいは作り過ぎた高音ではなく、中域から自然に伸びてつながる綺麗な高音に感じました。
音場についてはセミオープンタイプということもあり、イヤホンとしては少し広め。その分遮音性は低いです。
音づくりの方向性としては、SENNHEISER IE800のに近いものを感じました。IE800と比較するとE700Mは音の密度が低く、高音も粗いですが、どちらも素直な正統派サウンドで苦手なジャンルがほとんどないように思います。
あえて挙げるならば、カバネリのOPのようなボーカルとコーラスとBGMと、音数が多く全帯域が盛り上がるような壮大な楽曲では、メインボーカルと低域が自己主張し過ぎて、思うようなバランスとならなかったり、音が多少ごちゃっとした印象を受けました。
逆に、nano.RIPEのような、強めのドラムと、少しクセのある元気な女性ボーカルといった組み合わせはかなり良い感じのバランスとなります。
簡単にまとめると、E700Mは細かな音の表現だとか、解像度だとか、そういった点だけを見れば値段なりといったイヤホンです。ただ、音全体のバランスや、その中でのボーカルの立ち位置など、イヤホンの音楽を聴く上での核となる部分については、価格以上の完成度に感じました。特にボーカルもので音数の多すぎない、明るい楽曲にはよく合います。
ちなみに、比較的購入しやすい価格と付け慣れた形状、某価格比較サイトでの人気、そして安心のハイレゾ対応ということで高級イヤホン初心者にやさしいE700M。
そして「ご注文はイヤホンですか??」や「響け!ユーフォニアム」、「TIGER & BUNNY」といった各種アニメ作品とのコラボによる新規ユーザー層の獲得もしちゃうE700M。
まさに勉強も遊びもできる優等生といった感じで、今後もしばらくはこの人気が続きそうです。
ONKYO カナル型イヤホン セミオープン/ハイレゾ音源対応/コントロールマイク付 ホワイト E700MW Not Machine Specific オンキヨー |