イヤホンの形をした金管楽器「DITA Brass」のレビュー
・使用感
使用上、特にこれといった問題はありません。筐体が小さく、厚みもそれほどないので、耳への収まりがとても良いです。装着してもあまり目立ちません。
金属筐体のため本体重量はありますが、装着感の良さから使用時には気になりませんでした。
ケーブルも開封時にはかなりクセがありましたが、今はほんの少し柔らかくなっています。
ただし、筐体が表面処理されていない真鍮製ですので、外観上、残念ながら人を選ぶ機種です。
まず、筐体の酸化に伴う変色。これが、何かしら処理を施さない限りは、必ず起こります。
画像は研磨してから2週間後の様子です。特に何もせずに使用してみましたが、画像のように変色が進行しています。あまり綺麗なものではありません。
同時に、鼻に近づけると、金属特有の臭いも発生しています。
加えて、本体に傷が付きやすいです。ポリッシュによる研磨時にもそうですが、気をつけていても、ところどころに小さな傷がついてしまいました。
このように、DITA Brassはその価格と変色について、ある程度割り切った考えが求められるイヤホンになります。定期的に研磨することを楽しめるなら、なお良いですね。
ただ、私も最初の頃は変色や臭いが気になっていましたが、3週間も使っていると諦めて、慣れるものです。
さて、変色という大きなデメリットを持ちながらも、DITA Brassのサウンドはそれを上回る程に魅力的です。
・音質
環境はAK380を使用、イヤーピースは主にSpinFitを装着しています。
「ブラス」ということで、まずは「響け! ユーフォニアム」から「三日月の舞」を聴いてみました。
第一印象は、真鍮製という先入観もありますが、やはりトランペットなどの金管楽器の自然な音色や、高音の伸びが気持ちよく聞こえます。凄いです。
それから音場についても、程よく広がりが感じられるため、本当に楽器が演奏されているようなリアルさが加わっています。
まさに金管楽器を聴いているような気分になるイヤホンです。音が耳の中で鳴っている、という感じがあまりしないのもいいですね。
シンバルや鉄琴、ウインドチャイムのような金属音もかなり鮮やかに表現されるため、ガルパン劇場版のサントラなどにもかなり相性が良かったです。
音のバランスは高音寄りなフラット。
低音のバランスは適度という言葉がぴったりで、個人的な必要十分量は出ています。ただし、装着の仕方によってはスカスカになってしまうので、適切なイヤーピースを選ぶ必要があります。
中高域、特に高域についてはかなり明るく、鮮明に聴こえます。曲によってはサ行の刺さりが強く感じられる部分があるので、人によっては好みが別れるかもしれませんが、低域から自然につながる鮮やかな高音こそが、DITA Brassの最大の特徴とも言えます。かのATH-CK100PROほど攻撃的な高音ではないので、高音好きな方ならさほど曲を選ばず気持ちよく聴けるでしょう。
個人的には、テンポが速く、電子音が多分に含まれた勢いのある曲はちょっと疲れるかな、と感じました。この辺りは各人の好みで、紙一重なところもあります。
ボーカルでは男性よりも女性ボーカルのほうが得意です。更に言うと、高めの声が良く合います。
ハスキーな声と落ち着いた雰囲気の楽曲の組み合わせもまたいい感じなのですが、やはりトランペットやサックスと女性ボーカルが主張し合う、明るい楽曲とのシンクロが素晴らしいです。
例えば、Rhodanthe*の「Your Voice」、「My Best Friends」や、坂本真綾の「DOWN TOWN」などは、金管楽器とボーカルのバランスが絶妙ですね。女性ボーカル成分はほぼありませんが、Paradise Lunchの「Gun’s & Roses」も鉄板です。
DITA Brassは、女性ボーカルと金管楽器という、個人的なツボを的確に突いてきました。購入してから3週間、ほぼDITA Brassを使っています。
女性ボーカルをよく聴く方、特に高音が好き、でも全体の音のバランスや自然さも重視したいといったダイナミック好きの方におすすめです。
他のAnswerシリーズでも音の傾向が大きく変わるということはありませんので、どうしても変色が気になるという方はAnswerで、という手もあります。
金管楽器好き、金属音好き、ついでに限定モデル好き、という方なら迷わずDITA Brassを選びましょう。
その際はメタルポリッシュとポリシングクロスも忘れずに。
DITA Brass 【世界150台限定 真鍮(ブラス)使用モデル】
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