beyerdynamic DT 770 PRO X Limited Editionのレビュー
beyerdynamicから100周年を記念して発売されたヘッドホン「DT 770 PRO X Limited Edition」を購入しました。同社のヘッドホンの購入はT1以来です。
その名のとおり限定モデルですが、5月現在もまだ注文可能となっています。
発売日は4月19日でしたが、少し予約のタイミングが遅れてしまっため、おそらく2次出荷分での受け取りとなります。
外観。左下に正規輸入品のシールが貼ってありますが、Xの投稿を見ると左上の方が多いようです。
右の大きなシールにはMADE IN GERMANYの文字。未開封であることを示す目的もあるようで、結構適当に貼ってありました。
開封すると本体と説明書が見えます。ケーブル類はヘッドバンド下の箱の中に。
説明書と同社の1924年からの簡単な紹介(主にモニター製品関連)が同梱されています。
箱の中にはケーブルと収納袋。袋の謎の汚れは、ウェットティッシュで拭き取りました。
ヘッドホン本体正面。全体は黒基調で銀色のイヤーパッドはベロア調となっており、これからの季節には良さそうです。
側面L側。DT 770 PROをベースにした意匠で全面プラスチックですが、細かな凹凸があり指紋が目立たないようになっています。
ヘッドバンド部分にはLIMITED EDITIONのマーク。
上部ヘッドバンド部分。交換可能となっているため、最近はモニター用でも交換できないヘッドホンが出ている中、非常にうれしいポイントです。
もっとヘッドバンド交換可能なヘッドホンが増えて欲しいのは私だけでしょうか。
ヘッドバンドは新たなものが採用されているらしく、合皮のような手触りのよさと、十分なクッション性があります。
ケーブルは着脱式の左出し。
ハウジングには必要十分な可動域があります。
ケーブルを装着しました。長さは3mで、標準プラグのアダプタが付属しています。
表面は形状記憶性のあるゴム製となっており、非常に巻き癖が付きづらくなっています。
使用感
本体は305gと軽量。同社のヘッドホン全般に共通していますが、イヤーパッドが硬めで金属フレームも幅広のため、装着感は硬めの印象を受けます。不快という程ではないため、長時間の装着も問題なし。ゆったりではなく、しっかりした装着感を好む人には良い具合。
ヘッドバンドはクッション性が高く、頭頂部へのストレスはなし。
密閉型ですが硬めのベロアイヤーパッドで側圧も普通程度のため、わずかに音漏れあり。
コードは3mと十分な長さ。かなり巻き癖が付きづらい仕様となっている反面、真っ直ぐな状態がデフォルトのため、若干タッチノイズが目立ち易くなっています。
音質
第一印象は低域の躍動感が気持ちいい!でした。
やはりモニター用ということで全体的に見通しの良いカラッとしたサウンドとなっていますが、低域が少し強めに出ているため、ベースやバスドラムの音がとても気持ちよく聞こえます。
特に、最近よく聴いているヨルシカ「晴る」のような曲調と、バスドラムとベースの組み合わせがかなり良い感じです。
加えて高域やボーカルも低域に埋もれることなく、しっかりと主張してきます。
全体的に音の中低域がそれぞれ明確に分離して聞こえてくるような感じ。
ヘッドホンによる味付けはあまりないため、所謂リスニング用途のヘッドホンと比べると淡々とした印象を受けるため、ここは好みが分かれるところ。
ただ、ガチガチのモニター系ではなく音に僅かに余裕があり、音場は密閉型としては若干広めに感じました。
ちなみに昨年購入したSONYのMDR-MV1も同じくモニターヘッドホンなので参考までに比較すると、DT770PROLEの方がよりリスニング向きだと感じました。
全体的な音のつながりとしてはMDR-MV1の方が自然ですが、DT770PROLEよりも高域の強調が抑えられているため、比較すると若干暗い印象を受けます。
しかし、音楽以外の映画やゲームで使用した際には、銃撃音などでDT770PROLEの高域の刺激的が強すぎたため、オールラウンダーという点ではMDR-MV1に軍配が上がりました。
音楽用途オンリーであればDT770PROLEが良い感じです。
総評
3万円台と手の出しやすい価格帯の中で、メンテナンス性も高く、密閉型のモニターヘッドホンとしてかなり完成度の高いモデル。特にリスニング用途であれば、これ1つで完結もあり得るかも。
銃撃音の刺激問題についても、あくまで他モデルと比較すると気になるという程度で、次第に慣れました。
ベイヤーの音が好きでお手頃価格のヘッドホンを1つ長く使っていきたい、という方におすすめです。